2月末までだった三宮一将展「ルカスの視点」を見に行ってきました。会場は長湯温泉「万象の湯」のリラクゼーションホール「ルカス」。キリスト教に関連の深い土地柄にちなんだ命名で、三宮くんの作品にぴったりです。
到着してホールの扉を開けると同時に中から溢れ出るおばさまたち。五十~七十代の妙齢の方々がとめどなく雪崩れてくるのでびっくりしました。どうやら丁度その時間まで何かの会合があったようです。それにしてもあの生命感には圧倒されるわー。まさに洗礼を受けた感じでしたよ。
会合のテーブルそのままの会場で作品を見ていると、陶芸家の阿南くんと鉢合わせ。画家の谷くんと一緒に見にきたそうです。ほどなく三宮くんも現れ、会合の後片付けが簡単になされると、そこはようやく落ち着いた空間になりました。
紙で作られた施設の模型を載せたテーブルを囲んで4人で他愛無い話をするのは美しい時間でした。農業倉庫を改築したホールの高い窓から射すひかりが、時間とともに移動していきます。そのひかりの軌道上にオブジェ「窓」を展示していた日もあったらしく、それはきっと美しい十字架として静謐にそこにあったのだろうなと思うのでした。
作品は、やはり「新潮流展」で見た3点が圧巻。静かでものやわらかな緊張感をたたえた連作です。制作年代を尋ねると少し以前の作品も展示されていて、そこから最新作「ルカスの視点」へと至るあいだの精神の削ぎ落とされかたがまた美しかったです。丁寧で真面目な画家の仕事という感じがしました。
三宮くんの展示、次は小品展、それから「零のゼロ」と続きます。
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